DESIGN GALLERY AWARD JAPAN DESIGN COMMITTEE

この空間と勝負しませんか
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受賞者
発表

テーマ 「あなたのデザインを展覧会にしてください」

デザインギャラリー1953 で実施する展覧会企画。
展示する内容については、プロダクト・グラフィック・建築、その他ご自身のデザインに関係するものであれば
ジャンルは問いません。
DESIGN GALLERY AWARD JAPAN DESIGN COMMITTEE
日本デザインコミッティーは1964年以来、
約60年に渡り「デザインギャラリー1953」を運営してきました。45平米のコンパクトな空間でありながら銀座の一等地に位置し、開催した展覧会は800回を数え、「デザインの解剖展」「Designer's Catalogue」など、現代の日本のデザインの潮流を切り開いてきました。この歴史ある空間で、デザインの思想・領域・品質を未来志向で前進させるために、第一回「DESIGN GALLERY AWARD」を開催します。ご応募いただいた展覧会企画から優秀作を年間2点選び、賞および賞金を授与し、デザインギャラリー1953での展示機会を提供します。

審査委員会

本アワードは日本デザインコミッティーのメンバーから選抜される選定委員によって、
上位2点の選定を行います。
日本デザインコミッティー メンバー画像
ジャンルを超え、現在30名のデザイナー、建築家、
評論家が、ボランティア精神に基づきこの運動に
参加しています。

Photo: Yoshihiko Ueda
日本デザインコミッティー
メンバー[30名]
粟辻 美早/深澤 直人/原 研哉/
平野 敬子/色部 義昭/伊藤 隆道/
岩崎 一郎/川上 元美/
喜多 俊之/
北川原 温/小泉 誠/隈 研吾/
黒川 雅之/松永 真/面出 薫/
三澤 遥/三谷 龍二/
永井 一史/
内藤 廣/中村 勇吾/佐藤 卓/
妹島 和世/柴田 文江/須藤 玲子
鈴木 元/鈴木 康広/田川 欣哉/
武井 祥平/田中 俊行/山中 俊治
選定委員
深澤 直人 profile photo
深澤 直人
プロダクトデザイナー
デザインギャラリーに入った途端に「おおお~!」と言わせたいか。あるいは「????・
・あ!」と言わせたいか。いずれにしても驚きの感嘆やため息が出るような感動を味わいたい。デザイナーとは嫉妬深い人種である。めちゃくちゃ嫉妬させてほしい。
原 研哉 profile photo
原 研哉
デザイナー
銀座でデザイン展ができます。考えただけでワクワクしませんか。狭いけれど、800もの展覧会を実現してきたギャラリーです。空間が限られているからこそ、生きたアイデアと工夫が生まれます。チャンスを逃さず、思い切って飛び込んできてください。
内藤 廣 profile photo
内藤 廣
建築家
生成AIの登場によって、どのような「謎」も想定内になる日も近い。人が考える創造そのものに危機が到来する。この時代にあって、展示を通して人が人に仕掛け得る「魅力的な謎」「見知らぬ謎」が提示できるかに期待したい。
佐藤 卓 profile photo
佐藤 卓
グラフィックデザイナー
私は2001年から、このギャラリーで大量生産品をデザインの視点で外側から解剖する「デザインの解剖」という展覧会を企画開催し、その後の人生が大きく変わりました。小さな会場ですが、無限の可能性を持った空間です。展覧会は大きさではありません。小さな会場でも画期的な企画はつくれます。新しい提案を待っています。
須藤 玲子 profile photo
須藤 玲子
テキスタイルデザイナー
第1回目となる本アワード、現在、デザインの表現が多様化しても、手を動かし、何かを生み出そうとする「熱量」あるいは「切実さ」は、必ず作品に宿ると信じています。不器用でも構いません。素材と向き合い、何を込めようと格闘したのか。そのプロセスから産まれたエネルギーを待っています。

審査結果発表

この度、第一回目のDESIGN GALLERY AWARDへたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
応募総数106件の中から、選定委員による厳正な審査を経て、2点の優秀作が決定いたしました。
優秀作2点については、デザインギャラリー1953での展示機会と、賞金50万円が贈呈されます。
優秀作
「小野栞・空間の輪郭展」
開催期間:2027年2月17日(水)―4月12日(月)
展示概要
デザインギャラリー 1953 に「何もない」と感じられる空間をつくります。
私は、「何もない」と感じる余白のある空間は、居場所になると考えています。
なぜなら、特定の用途や誰かのためではない空間は、
多くの人が自由に関わることができるからです。
本企画では、空間からものを取り除いて空っぽにするのではなく、
「何もない」と感じられる作品を展示することで、その余白を生み出します。
展示する作品は、ステンレスワイヤーを一本の糸のように用い、
手編みによってギャラリーのシルエットを象った大型の立体作品です。
ギャラリーという空間そのものを「かたち」として捉え直すことで、
「何もない」と感じられる空間を立ち上げます。
その「何もない」と感じられる空間は、「誰か」や「何か」を受け入れる余白となり、
それぞれの居場所のひとつになることを目指します。
小野 栞
アーティスト/デザイナー
1本の糸から編みや織りなどのテキスタイル技法を用いた作品を制作。国内外での作品展示の他に、テキスタイルや衣服のデザイン・制作を行う。
第57回日本クラフト展経済産業大臣賞・日本クラフト大賞受賞。主な展覧会、2025年「DESIGN LIVE EXHIBITION」東京ミッドタウン、2023年「Material, or 」21_21 DESIGN SIGHT、他。
東京造形大学非常勤講師。
選定委員コメント
深澤 直人
資材が何であろうと糸という。糸は限りなく細くなりたいという願望があるのがわかる。それを織ったり紡いだりするとそれは布になる。布も糸も空気のように漂うことは空気の流れが視覚化されたもののように感じるがそれは煙ほど繊細ではない。作者が言っている輪郭というのは空気の視覚化で、目に見える空気の比喩のように聞こえる。人は重力から逃れて空気のような存在になりたいと思っていると思う。
原 研哉
「余白」の捉え方に評価が集まりました。おそらくは、目に見えないほどの微細な編み物をギャラリー空間に配することで生まれる、未知なる気配に、これまでの展示にはない感覚が息づいてくると感じます。手で編むことでしか実現できない、きわめてあえかで物質感の希薄な「膜」のようなものを生み出そうとする姿勢に、この作家が見ようとする造形の姿があります。すでに衣服の形をしたオブジェクトを通して緻密な仕事をしていますが、ここではさらに一歩踏み込んだ編み物のあり方を通して、新しい空間のリアリティを目指そうとしているように感じます。ギャラリーにおける展示のあり方を更新する意味で、このアワードにふさわしいプロジェクトではないでしょうか。
内藤 廣
表現することは、必然的に「有ること」を主張する。あらゆる作品が「有ること」を際立たせようとするのに対して、この作品は「無いこと」や「不在」を作品化している。その「無いこと」の表現を、執念とも言える手作業で実現しているところが凄い。個人的な感想だが、この儚さと純粋さと白さは、ハン・ガンの小説が生み出す空気に重ねられるように思った。この「美しさ」を見てみたい。
佐藤 卓
この展示の企画書には、「何もない」と感じられる空間をつくることと書かれていた。そんなことがはたしてできるのだろうか。この企画は0.06mmという極細のステンレスのワイヤーを使い、手編みで生地をつくり、それにより空間をつくるという試みである。以前にも作品は拝見したことがあり、コンクリート壁を背景にしたその空間は、信じられないほど繊細で美しかった。確かにそこは、存在がないようなあるような、不思議な空間だったのを覚えている。それを百貨店の中の小さなギャラリーで展開した時、どんな空間になるのか見てみたいという衝動が、私がこの提案を選出した理由である。1つ1つの展示を丁寧に見てもらうという既存の展示とは全く異なった実験的な提案を、このアワードが受け入れたということだ。
須藤 玲子
「編み」という原始的な構造を、丁寧な手仕事と考え抜いたコンセプトにより、高い次元の表現を拓いてきた作家である。かつて、「美しさと素材の密接な結びつき」「繊細さの中にある強さ」と評された彼女の表現は、本企画では「空間の輪郭」へと拡張された。 ギャラリー空間を包み込む構造体により、「何もない」余白を創出する本作は、視る人に何かの姿勢は求めない。理屈を超え、「作りたい」という熱量が生むモノ作りの原点が、手仕事による空間の新たな可能性を切り拓く。卓越したクリエイティビティを高く評価した。
優秀作
「鈴木結菜・Structure as package 補完し合うかたち展」
開催期間:2027年4月14日(水)―6月7日(月)
展示概要
本展は「卵つと」がはらむ合理性・造形性を見つめ直す展示です。
「卵つと」とは、かつて高価な食材であった卵を
藁という日常的に入手可能でかつ廃棄される素材を使い、
保全性に優れた状態で合理的に卵を運ぶために編み出されたパッケージです。
現代では藁は高価になってしまったため、代用品として紙紐を用い、
紙紐の伸縮性を活かしつつ、卵を運ぶことを目的とした包む造形を再検討します。
「包むこと」に実直に向き合うと合理性にぶつかりますが、
それは必ずしも装飾性がなくなることには繋がらないように感じています。
「包むこと」を考えた末での新しい造形を、鑑賞される方に投げかけたいです。
鈴木 結菜
デザイナー
1994年静岡県生まれ。
京都市立芸術大学美術学部デザイン科ビジュアルデザインコースを卒業後、2021年に武蔵野美術大学大学院造形研究科基礎デザイン学コースを修了。同年より株式会社日本デザインセンターに入社。
グラフィック・プロダクト・展示空間などのプロジェクトに関わる。
選定委員コメント
深澤 直人
卵が線状のもので包まれるとやや不気味な物体が助長される。卵が白かった時代よりも茶色くなった方が気味悪さがなくなった。この作品には不気味さがある。包むという機能だけではなく存在が顕になる。気持ち悪さの探求と誤解してしまうほど美しさもある。
原 研哉
わかりやすく、そして美しい。「なってきたかたち」のその後を探究する姿勢を応援したいと感じました。暮らしの中で育まれた民芸的な包装のかたち「卵つと」に触発されての研究だと思いますが、紙紐と包まれる対象物との相関で生まれる「包む/包まれる」関係を丁寧に見つめ、さらなる可能性を追い求め、食い下がっていく視点と姿勢に共感を覚えます。作者が語っている通り、包装の合理性は外観の魅力を考慮しないことではなく、包む/包まれるという様相そのものが見ごたえのある造形物として立ち現れてくる点に「卵と紐」のかたちの妙があります。人の手による工夫と、先細った長楕円の相剋は、現代においても、見る者の目を釘付けにする何かを持っています。
内藤 廣
「卵」というのは特権的な素材だ。誰でも手に取ったことがあり、その硬さも重さも脆さも、我々の手の感触が知っている。それを紙紐で包み、それがそのまま造形になっている。ユニークな発想と造形力は、多くの人を驚かせるだろう。「卵」を介在させることによって、創作者が生み出す造形とそれを見る観客との間の感情のやり取りを豊かなものにするだろう。
佐藤 卓
藁を使った伝統的な卵のパッケージ「卵つと」を、紙紐を使ってさらに可能性を探る展示は、素直に美しいだろうと思った。そして企画書では簡単に触れられていたが、包むことの合理性と装飾性の関係についての指摘は、実は奥深い。ガウディーの建築がただ単に装飾的ではなく自然の摂理に基づいて造られているという話は有名である。現代はとかくシンプルでモダンな生活空間が推奨されがちだが、味気ない空間やデザインが心地よいかと問われれば、そうではない気がする。モダンデザインだけが生活空間を豊かにするのかという問いともに、この展示に期待したいと思う。
須藤 玲子
鈴木結菜氏は「組む」という手仕事の構造的・造形的可能性を、極めて高い完成度で探求する作家である。本企画では、米作の藁から生まれた生活の知恵「卵つと」が持つ合理的な機能と美しい構造に着目し、素材を現代の紙紐へ置き換え、その本質を再解釈している。 驚愕すべき手仕事により産み出される造形は、単なるパッケージの領域を逸脱している。小作品からギャラリー空間を構成する巨大な立体展開に至るまで、理にかなった構造を形成している。手仕事が持つ、新たな建築構造、立体表現への展開の気配と可能性を強く予感させた。
第一回「DESIGN GALLERY AWARD」の募集は終了いたしました。
2027年に第二回の実施を予定しています。皆様のエントリーをお待ちしております。