デザインギャラリー1953

第742回デザインギャラリー1953企画展「弱さの工芸」

この度、日本デザインコミッティーでは、第742回デザインギャラリー1953企画展といたしまして、 「弱さの工芸」を開催いたします。
日本デザインコミッティーのメンバーの中でも工芸に関しての目利きである、木工作家の三谷龍二の監修によって、人選された工芸家、骨董商5人の仕事を紹介する企画です。
本展では、工芸とは現代社会の中でどのように捉えられているのか、あるいは捉えるべきなのかを問うものです。暮らしの中に常に寄り添うのが工芸ですが、昨今、その在り方が揺らいでいるようにも感じられます。
三谷は、工芸の今日の姿を5人の出品者を通して考えてみるという試みを本展で、「弱さの工芸」というタイトルを掲げ考察します。5人の出品者による独特の世界観をご高覧ください。

監修:三谷龍二からのメッセージ

わたしたちの国は自然災害のたいへん多い国です。つねに自然の猛威を畏れ「天然自然のすることには逆らえない」という諦念を心にもち、ひとはいつも受動的で、弱い存在であり続けてきたように思います。
工芸の中に「弱さ」が現れたのは90年代のバブル崩壊後でした。それまでの工芸は、美術と工業の狭間でその「自立」をめざし、作品に「強さ」を付与することを求めてられいたように思います。しかし、それによって工芸は、かつてあったような、使える生活道具ではなくなり、人の暮らしから離れてしまいました。そこに現れたのが、作品として「不完全で」あるからこそ、ひとびとの暮らしにつながることができる、普段着のような工芸のすがたでした。作家自身の手の内にあるリアルな実感を元手に、かたちを模索するように生み出される表現の欠片。用、無用の境はあいまいですが、まるで生きることの心の震えがそのまま形になったような、そんな「弱さの工芸」のなかにある豊かさをご覧いただけたらと思います。

「必要なのは歯をくいしばることではなく、つい他者を求めてしまう弱さなのではないだろうか。欠如は欠点ではない。可能性なのだ。そう考えると世界は不完全なまま、不完全であるからこそ豊かだと、そう思えてくるはずだ」(「歩くような速さで」 是枝裕和)

展覧会概略

  • 第742回デザインギャラリー1953企画展
    「弱さの工芸」
  • 会期:2018年2月20日(火)〜2018年3月19日(月)最終日午後5時閉場・入場無料
  • 会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953
  • 主催:日本デザインコミッティー
  • 監修:三谷龍二
  • 出品者:秋野ちひろ(金属)、冨沢恭子(布)、古い道具・冨永淳(骨董)、森田春菜(陶)、山本亮平(陶器) (50音順)

◎開催時間等については、松屋銀座のWebサイトにて、営業日・営業時間をご参照ください。

販売イベント

全展示物の販売を行います。
2月20日(火)7階デザインコレクションイベントスペースにて関連販売を行います。