この企画は、2008年度から日本デザインコミッティーが飛騨春慶塗の職人たちと商品開発に携わってきた成果をお披露目するものです。
ご存知のように飛驒の春慶塗は、木地が透けて見えるように漆を塗る品格ある伝統漆器です。主に、宗和流という茶道の流派で茶道具として使われてきましたが、近年では、使われる場面が激減してしまい、衰退の一途を辿っています。
日本デザインコミッティーでは、岐阜県の産業支援機関である(財)岐阜県産業経済振興センター デザインセンターの委託を受け、この春慶塗の可能性を追求すべく、8人のメンバーが商品開発のプロジェクトに参加しました。伝統の技術にデザインの力を付加することで、新しい活路を見出そうというプロジェクトです。繊細、そして端正でありながら、日常の生活の中で、実用的に使える春慶塗をご紹介いたします。
制作のテーマは、「椀一式」。汁椀、箸、盆の3アイテムを8人のデザイナーそれぞれがそれぞれのコンセプトによってまとめあげています。購入可能な8種類の作品をお愉しみいただきたいと思います。また、この展覧会と合わせ、同タイトルの書籍も刊行いたします。
新年1月14日(木)には、銀座3丁目・アップルストア銀座にて、原研哉、小泉誠、等によるトークショーを開催いたします。
展覧会概略
- タイトル:第661回デザインギャラリー1953企画展 飛騨春慶×日本デザインコミッティー「椀一式 — 使う漆器へ」
- 会期:2009年12月27日(日)〜1月25日(月) 最終日午後5時閉場・入場無料
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 共催:日本デザインコミッティー、(財)飛騨地域地場産業振興センター、(財)岐阜県産業経済振興センター デザインセンター(通称:オリベデザインセンター)
- 展覧会担当:原研哉(プロジェクト+展覧会+書籍のディレクションを担当)
- 出展:飛騨春慶ひのき会(代表:日進木工(株)代表取締役 北村 斉、職人:中屋憲雄、西田恵一、滝村紀貴、矢島浩(日進木工)、他)
書籍
「展覧会で発表した8作品の紹介」が主な目的となる書籍。8作者がそれぞれの作品に対するコメントを寄稿。職人との対談、制作に関わったデザイナー同士の対談なども計画され、春慶塗をさまざまな面から俯瞰する構成となっています。また、ここで制作された「椀一式」を実用品なので、実際に使われている状況も再現する方法(=料理を盛りつける)を加えます。見て美しく、実用に繋がるヒントある書籍です。
- タイトル:飛驒春慶×日本デザインコミッティー「椀一式 — 使う漆器へ」
- 発行:日本デザインコミッティー
- ディレクション:原研哉
- 編集協力:橋本麻理
- 写真:石井宏明
- 出版社:実業之日本社
- A6判/151ページ/2010年1月1日発売予定
- 販売価格:2000円前後
トークショー
当企画に関わった面々が出演するトークショーです。全体のディレクションを担当したグラフィックデザイナー・原研哉がナビゲーション役をつとめ、地場産業の実態に詳しいリビングデザイナー・小泉誠、本企画の制作を行った職人・西田恵一(木地師)、滝村紀貴(塗師)の4者が、伝統産業とデザインの関わりについて語り合います。詳細は、日本デザインコミッティー事務局までお問合せ下さい。
- 日時:2010年1月14日(木)午後5時30分〜7時
- 場所:アップルストア銀座 3Fシアター(〒104-0061東京都中央区銀座3-5-12)
- 参加費:無料(事前予約は不要です)
※当日は、5時10分より受付を開始いたしますので、アップルストア銀座の担当者の指示に従っていただき、ご入場下さい。着席は来場順に先着80名様までのご案内となります。お立ち見でもご覧いただけます。