ようやく、丹下健三の国際的な代表作が、我国にも実現のはこびとなった。もちろん、話題の東京都庁新庁舎である。華麗にして斬新なこのプランに対して丹下健三の変身でありポストモダンであるといった評論家がいたが、私はその説はとらない。成程、脱皮に近い思い切った造形美であるが、その底流には、丹下健三のルネッンスからバロックに移行した時代に対する哲学的な深い解釈があってのプランではなかろうかと思う。恐らく二十一世紀に向って我国の環境文化のあり方を問う注目の作品をじっくりとごらん願いたい。これは一般の人々に向けての初めての展覧会である。(亀倉雄策)
展覧会概略
- タイトル:第359回デザインギャラリー1953「丹下健三・新都庁舎建築展」
- 会期:1986年9月12日〜10月1日
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 展覧会担当:亀倉雄策
- 協力:丹下憲三都市建築設計事務所