吉阪先生が昨年末に他界された。先生はたぐいまれなスケールで建築を描こうとされた方である。園スケールとは、ドア枠などの現寸から、都市計画、そして世界を形に置き換えようとする有形学〈これも先生の発想による特異な世界や価値の図式化の学問である〉に到るまでの、云い換えれば具体から抽象まで、ミクロからマクロまで、物質から精神までの壮大なドラマを建築としてとらえようとする視点である。この小さな会場からはみ出してしまう先生の世界を、その片鱗だけでもお伝えできれば幸いだと思っている。(黒川雅之)
展覧会概略
- タイトル:第276回デザインギャラリー1953「吉阪隆正の世界」
- 会期:1981年8月7日〜8月19日
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 展覧会担当:黒川雅之