ここに展示された半纏は、江戸消防記念会第一区の御厚意に依るもので、今回は江戸の中心地即ち今日の内神田、日本橋、京橋、銀座の元組の半纏である。江戸の火消はこれを着て、組のシンボルである纏を振りかざして、先頭にたって、自己の組の名誉の為、命を賭して勇み、火事場で戦うのである。それは張りがあり、又いなせな形をしていて、江戸文化の強烈な姿を、ここに凝縮したものであると言えるだろう。この純粋にして確固たる姿を見ると、我々民族の血潮も嘗ては、斯くの如きものであったかと思うと、只々感激と驚異を以て、敬意を表せざるを得ない。(柳宗理)
展覧会概略
- タイトル:第205回デザインギャラリー1953「江戸火消の半纏」
- 会期:1977年7月17日〜7月27日
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 展覧会担当:柳宗理