バットは球を打つのに如何に振り易く,グラーブは球を如何に捕え易く,野球人にとって,生命を左右するほどのこの使い勝手は,余りにも峻厳であるが故に,今日のデザイナーのいう,スタイルとか,ムードとか,流行等,いささかも入り得る余地のないものであった。併しその姿は何と健康的な素直さを持っていることだろう。これこそデザインの本然の姿ではなかったか! デザイナーのタッチしていない此等のデザインを,Anonymous Designと称し,識者の中で論議のまととして注目されているものである。(柳宗理)
展覧会概略
- タイトル:第20回デザインギャラリー1953「デザイナーのタッチしないデザイン」
- 会期:1965年10月15日〜11月10日
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 展覧会担当:柳宗理