私の出会ったart&designの本

2010年3月に開催された、第664回デザインギャラリー1953企画展のアーカイブ。
コミッティーメンバーが選んだ「影響を受けた3冊」に、テキストを添えてご紹介します。
多くの人たちの本と親しむきっかけとなれば幸いです。

喜多俊之ポートレート
喜多俊之|プロダクトデザイナー

1969年よりイタリアと日本でデザインの制作活動を始める。イタリアやドイツ、日本のメーカーから、液晶テレビなどの家電から、ロボット、家庭日用品に至るまでのデザインで、多くのヒット製品を生む。作品は、ニューヨーク近代美術館など世界のミュージアムに多くコレクションされている。また、日本各地の伝統工芸・地場産業の活性化、およびクリエイティブディレクターとして多方面で活躍する。

  • now printing
  • now printing
  • now printing

Achille Castiglioni

著者=Sergio Polano 出版社=Electa 初版年度=2001年

田中一光 伝統と今日のデザイン

責任編集=田中一光デザイン室 出版社=トランスアート 初版年度=1998年

粟辻博展 色彩と空間のテキスタイル

編集=日本経済新聞社 初版年度=2000年

近年の、イタリアを代表する建築家であり、プロダクトデザイナーである、アッキレ・カスティリオーニ氏の作品集は、ものづくりを通じて、ポエジーに満ち溢れている。単にシンプルであるとか、機能的だとか言う前に、人に対する優しさがみなぎっている。そればかりか、背景にアート心もしっかりと息づいているといった個性が、有名な照明器具アルコや多くのデザイングッズに満ち溢れているのである。
田中一光氏の作品集も日本を代表するというより、世界のIKKO TANAKAとして、多くの作品を残している。伝統的な琳派の流れや、ご本人の生まれ育った奈良、天平に生きた人々の美的センス、そして近代的なマーケティング、美しいロゴタイプ、泉のように湧き出る発想は、世界のデザイナーたちも目を見張った。今、残された作品を目にするとき、まずアート心に満ち溢れていることと、時間を越えたそのセンスは、これからも日本や世界のグラフィック業界にとどめられるに違いない。
粟辻博氏の展覧会の図録は、彼のデザインというより、アート精神に満ち溢れた作品群である。京都生まれならこその日本文化が根底に流れていることにも、感動を覚える。平面と立体の中間を行く造形の豊かさは、今も最先端を行く感性ではないだろうか。テキスタイルデザインのパターンとして、生まれたにもかかわらず、それを越えて人々に与える夢の部分に、注目させられる作品たちは力強い。
イタリアのアッキレ・カスティリオーニ氏はじめ、経済豊かな日本で、大いに活躍した日本の作家お二方ともども、大変懇意にさせていただいたことを誇りに思う。

『Achille Castiglioni』をAmazon.co.jpで購入
『田中一光 伝統と今日のデザイン』をAmazon.co.jpで購入

Copyright©Japan Design Commitee Co., Ltd.