デザインギャラリー1953

第734回デザインギャラリー1953企画展「プロダクトの絶滅危惧種|琺瑯」

この度、日本デザインコミッティーでは、734回デザインギャラリー1953企画展といたしまして、「プロダクトの絶滅危惧種|琺瑯」を開催いたします。

琺瑯の鍋や釜は、私たちのキッチンで大活躍し、主婦たちの憧れと言っても過言ではないほど、大いに持てはやされた時代がありました。昨今では、さまざまな調理器具に押され、その存在価値が見えにくくなってきています。本企画では、「琺瑯」という手法、それによって生まれたプロダクツを紹介してゆきます。

琺瑯は、制作の手順が複雑で手間のかかるものなのですが、多くの人々には、その事実を知られていないのではないでしょうか?
① 製造のプロセスとデザイン( kaico drip kettle S|小泉誠デザイン)
② 国産琺瑯製品の展示
などを通して、琺瑯について分かりやすくご紹介いたします。

企画監修 小泉誠からのメッセージ

琺瑯の器物は、昭和初期に日本での生産が始まり、昭和の風景をつくってきた。高度経済成長期以降、アルミやステンレス製品にその場を奪われ、残った国産メーカーは4社のみ。陶磁器メーカーが約2000社、家具メーカーが約1000社に比べると琺瑯が「絶滅危惧種」であることがよく分かる。

琺瑯が「絶滅危惧種」になるには訳がある。琺瑯の加工には膨大な手間が掛かり、成形加工のための金型製造を含めると100近い工程になる。高度経済成長期以降の日本では「手間=高価」という図式となり、工賃の安価な海外での生産を余儀なくされ、国内の製造者の姿が消えていった。

今回は、手間ひまのかかる琺瑯の工程とデザインのプロセスを伝え、日本製だから可能となった形と工夫をご覧いただき、日本の琺瑯に目を向けていただきたいと思っています。

展覧会概略

  • タイトル:第734回デザインギャラリー1953企画展「プロダクトの絶滅危惧種|琺瑯」
  • 会期:2017年4月16日(日)〜5月15日(月)午前10時〜午後8時・最終日午後5時閉場・入場無料
  • 会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953
  • 主催:日本デザインコミッティー
  • 協力:昌栄工業、日東エナメル
  • 企画監修:小泉誠

デザインサロントーク・ワークショップ

今回のデザインサロントークは、ワークショップを組み合わせた特別企画となります。最初にバリスタが、琺瑯のケトルを使った美味しい珈琲の淹れ方を披露します。(約40〜50分以内)その後、会場内に移動して、本企画監修の小泉誠が琺瑯の技法や歴史、日本の琺瑯の今日などについてのトークを行います。(約40〜50分以内)

◎第57回デザインサロントーク

  • 出演:小泉誠(家具デザイナー)

◎ワークショップ「おいしい珈琲の淹れ方」

  • 講師:kaicocafe バリスタ 高橋由佳
  • 参加費:無料
  • 申し込み:不要

関連イベント

4月26日(水)〜5月9日(月)の間、関連企画として、「日本の琺瑯」を開催します。銀座松屋デザインコレクションにおいて、関連商品の販売を行います。