この度、日本デザインコミッティーでは、第 688 回デザインギャラリー1953 企画展といたしまして、「Sarjaton イッタラのあたらしき伝統 ̶ フィンランドの食卓風景が変わる、その片鱗が見えてきた」を開催いたします。
「Sarjaton(サルヤトン)」という言葉、日本人には聞き慣れないものだと思いますが、これはフィンランドの食器ブランド “イッタラ” が新たに打ち出すテーブルウエアーのラインの名称です。
サルヤトンとは、フィンランド語で「続きものではない」というような意味ですが、西洋のテーブルウエアーは、魚、肉用の皿各種、スープ、サラダ、C&Sなど、食事に使うさまざまな食器が一揃え整って、初めて一つのシリーズと認められます。ところがサルヤトンは、こうした西洋的な食器の考え方とは異なるコンセプトを備えています。
日本人の食卓では、和洋中などさまざまな食事が供され、さまざまな食器が一つの食卓に混在することは当たり前のこととして捉えられていますが、異種混合のこうした在り方は西洋では珍しいことだと言われます。
サルヤトンは、ヨーロッパ生まれのテーブルウエアーではありますが、どのような料理も受け入れることが出来る許容性の高さから、むしろ、私たち日本人の食生活や食器の考えに似ていると見る事が可能です。同じ形状であっても「色のあるものとないもの」が揃えられており、その人のアイデアや目的によって、食器の組み合わせを自由自在に組み替えることが可能です。フィンランドのロングライフデザインの在り方を踏襲しつつも、今日の多様な食生活に柔軟に対応できるコンセプトによって成立しています。
9月上旬、このラインが日本で初めてお披露目されることになりました。
デザイナーの川上元美氏がフィンランドを訪れ視察。さらに、現地デザイナーにインタビューを行って、サルヤトンの魅力を探りました。本展では、サルヤトンのシリーズ各種とインタビュー、写真などを織り交ぜてご紹介をいたします。
展覧会概略
- タイトル:第688回デザインギャラリー1953企画展
「Sarjaton イッタラのあたらしき伝統 – フィンランドの食卓風景が変わる、その片鱗が見えてきた」 - 会期:2012年9月4日(火)〜10月8日(月)最終日午後5時閉場・入場無料
- 会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 協賛:スキャンデックス
- 展覧会担当:川上元美