Design Gallery 1953

The 439th Design Gallery 1953 Exhibition “Cabinet in Ocean Colors by Hideo Mori”

森豪男のデザインは詩である……といった言い方は、彼の作品を説明するうえで不適当かも知れない。なぜなら、デザインは詩でもなく、また詩はデザインでもない。だが、デザインも詩も共通した創造である。そこには実現した形態こそ異なるが、共に作者の内在したイメージが、形もしくは言葉に表れる。森豪男の多くの作品につけられた題名とドローイングと作品との関係は、受け手側に新たなイメージを引き起こす。『観測のための家』『高てくる』『花の香りが風に乗ってやつてきた』これらの言語は、すでにそれだけでイメージをつくり出している。森の作品を知るうえで重要な手かがリとなるものである。あまり、多作ではない森の作品には、そのひとつひとつが事物を深く観察することによって生まれる。風化することのない永遠性を感じるのは、そうした姿勢によるものなのだろう。1971年に発表された自然のデザインをテーマとした『Another Space』、1977年の『Rambling Home』、そして今日に至るまで、この作者は不思議と自身を変えることがない。そこには森自身の深いテーマが横たわっているのだろう。その点において、デザインとは一過性のものではなく、繰り返し繰り返しテーマは掘り下げられていくものなのである。『海の色彩を持つキャビネット』はまぎれもなくデザインである。だが、デザインとは多くの可能性を秘めたものである。そこには音楽の持つ可能性、哲学のそして詩の…………(内田繁)

展覧会概略

  • タイトル:第439回デザインギャラリー1953「森豪男 海の色彩を持つキャビネット」
  • 会期:1991年10月30日〜11月18日
  • 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
  • 主催:日本デザインコミッティー
  • 展覧会担当:内田繁
  • 協力:黒谷美術アートスペース、大山工作所株式会社、株式会社エリアント

第439回デザインギャラリー1953「森豪男 海の色彩を持つキャビネット」

第439回デザインギャラリー1953「森豪男 海の色彩を持つキャビネット」