店主口上
デザイン隆盛などといいながら、未だに「消費迎合的」なる安易な思想なきデザインが溢れる現代の日本。
そこに、十九世紀ドイツ浪漫派の大人、詩人思想家ゲーテが殴り込もうとする。
「意図」は、「ものづくりは、すべからく宇宙の意志をこの世に伝える」事。
ここに四人の、現代美術作家を紹介する。いずれも若き俊英、全身全霊で、宇宙芸術霊を呼吸している稀有な実例なり。
その気概、まさに、詩人リルケの喝破する「芸術家とは、美の祭壇を整える者である」(『ロダン論』から、高安国世先生訳か)。
銀座目利き百貨街「ゲーテの手 ― 新見隆現代美術画廊」
- 店主:新見隆
- 会場:松屋銀座 7階 デザインコレクション
- 期間:2020年12月26日(土) ― 2021年1月19日(火)最終日午後7時閉場
◎開催時間等については、松屋銀座のWebサイトにて、営業日・営業時間をご参照ください。
参加作家
- 尾形かなみ
ガラス作家、思念と詩をガラスのミクロコスモスに丹念に封じ込めて可憐。 - 新見藍
焼きもの彫刻家、祈りを練り込み、願いを彫る、現代の表現主義作家。 - 長谷川さち
石彫家、香りと気配を典雅に彫りだす。石という宇宙形姿の佇まい。 - 留守玲
鉄粒を溶接する特異な鉄の工芸作家。ユーモアと詩情の交わる光輝。
「銀座目利き百貨街」について
きれいに足並みを揃える「製品」然としたものよりも、広い世界から個性的な店主の手でつかみ取ってきた逸品を見たい。評価の定まったものよりも、選者のふるいの目の独自性を尊重し、さらに自分の眼をくぐらせて価値を判定したい。世の中のそんな気分に呼応するように、過去三回に渡って開催された「銀座目利き百貨街」が、ご好評にお応えして再び登場。日本デザインコミッティーの会員が交代で店主となり2年間次々と展開します。「目利き」は真贋を判定するアカデミックな鑑定眼という意ではなく、個性的な仕事をしている店主ひとりひとりの目を活かして、ここでしか出会えない商品を選定している点に由来しています。