我々は現代生活の中に古来からの習俗を併存させている。昨今のお祭りの様にまではいかないが、千社札も同好者の間で生きつづけている。写経を納める平安末期の貴族達の風習は、室町時代庶民達に拡がり、木札、紙札に手書きの納札が各地の社寺に参拝の証しとし貼られ、江戸時代中期に江戸を中心に大流行し、巡礼からレジャー的旅行の要素を加え、その札は木版刷りで華美で精緻で多色刷りとなり、同好者間で、交換された。素人のアイデアを職人達が美事な木版刷りにしつらえていて、庶民の「遊びの精神」が横溢した見ていて楽しくなるものである。(松本哲夫)
展覧会概略
- タイトル:第231回デザインギャラリー1953「千社札」
- 会期:1979年1月4日〜1月17日
- 会場:松屋銀座7F・デザインギャラリー1953
- 主催:日本デザインコミッティー
- 展覧会担当:松本哲夫
- 協力:宮下令二、海上清、西海長久