私の出会ったart&designの本

2010年3月に開催された、第664回デザインギャラリー1953企画展のアーカイブ。
コミッティーメンバーが選んだ「影響を受けた3冊」に、テキストを添えてご紹介します。
多くの人たちの本と親しむきっかけとなれば幸いです。

細江勲夫ポートレート
細江勲夫|デザイナー

1942年、東京都生まれ。1967年日本大学大学院航空工学科修士課程修了。学部•大学院を通して人力飛行機開発にたずさわる。イタリアに渡り、スタジオPERを経て、アルベルト・ロッセッリ事務所に勤務。1985年、Isao Hosoe Design設立。Bisazza、Cassina、Fiat、Isa、イトーキ、Loccioni、Luxo、三菱自動車、Piaggio、Sacmi、SNCF(仏国鉄)、Steelcaseをはじめ、欧州を中心とした大手企業との業務。A.D.I. 会員、S.I.E.会員、日本デザインコミッティー会員。黄金コンパス賞(伊)、ルビアナ・ビエンナーレ金賞、ミラノ・トリエンナーレ金賞、SMAU賞(伊)、IF賞(ドイツ)、IDマガジン年間賞(米国)、シカゴ・アテネウム・グッドデザイン賞(米国)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)など受賞。ヴィクトリア&アルバート美術館、ポンピドゥーセンター美術館およびシカゴ・アテネウム美術館永久保存。ミラノ工科大学、IUAV(Venezia)、La Sapienza (Roma)、ISIA(Firenze)、シエナ大学、ドムスアカデミー等で教鞭をとる。著書に「プレイオフィス」(GC プレス)。現在もイタリアを中心に、国際デザイン賞審査や講演を行うなど、幅広い活動を続けている。

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「いき」の構造

著者=九鬼周造 出版社=講談社 初版年度=2003年

著者と私の共通点は、アンリ・ベルクソンに影響を受けたことにある。九鬼氏は1920年代パリ留学中にベルクソンの薔薇の匂いに関する考察を読んで、「いき」を嗅ぎ取ったのである。江戸時代に開花した類い稀な「粋」という日本の価値観が、数百年の時を経て、世界に発信されようとしている。

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知の旅への誘い

著者=中村雄二郎、山口昌男 出版社=岩波書店 初版年度=1981年

私の文化人類学の師であり、遊び仲間でもある山口昌男氏。60年代のこと「知」の中心であったパリに居た哲学者中村雄二郎と、「知」の周縁の地西アフリカで人類学の調査を行っていた山口昌男氏が、まさに旅の途中出逢い生まれた本である。そしてこの本が、デザインという新しい「知」を模索する旅であることを気づかせてくれたのだ。

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かくれた次元

著者=エドワード・ホール 訳=日高敏隆・佐藤信行 出版社=みすず書房 初版年度=1970年

1978年友人である故阿部紘三氏から贈られたこの本は、長年私の書架に並んでいた。10年の歳月を経た80年代後半に、バイオテーブルの仕事の際に大きく寄与することになるとは誰が想像していただろうか。それはプロクセミックス(近接学)という人間と文化的空間の関係を解き明かしたもので、革新的会議テーブルのデザインの起爆剤となった一冊である。

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