漆はウルシの木から採取した天然の樹液(傷つけられた木が傷を塞ぐために分泌する)です。飛騨春慶はこの漆が完全に固まるまでの間、ゆっくり強度と透明度を増しながら本来の美しい色、濃褐色から淡い春慶色へと変化していきます。また木地師や塗師が多くの皆さまに使っていただくために、手間を厭わず、心を込めて製作した生活道具ですから、少々の傷などは気にされず、日常生活の中で気軽にお使いいただければ幸いです。末永くご愛用いただくために、以下の注意とお手入れ法とをご参考にしてください。
ご使用上の注意
塗り上げて間もない飛騨春慶は、体質によってかぶれる場合もありますので、取り扱いには十分ご注意下さい。かぶれやすい
方は取り扱いの際、手袋などの着用をお勧めします。
直射日光に当てることや、ストーブ、ガスレンジの近くなど高温になる場所に置くこと、電子レンジや蒸し器で加熱すること
は避けてください。
食器洗浄乾燥機、冷蔵庫には入れないでください。
お手入れ法
塗り上げて間もない飛騨春慶は表面に油がにじみ出て、霧が噴いたような状態になりますので、その場合は柔らかな布で油を
拭き取ってください。にじみ出た油が固まってしまいますと、取れなくなります。油が落ちにくい場合は、薄めた中性洗剤を
柔らかい布やスポンジなどにつけて、水またはぬるま湯でやさしく洗い流してください。
ご使用後の油汚れは薄めた中性洗剤を柔らかい布やスポンジなどにつけて、水またはぬるま湯でやさしく洗い流してください。
クレンザー(磨き粉)や熱湯は使わないでください。スポンジも種類によっては傷の原因になることがありますので、十分に
ご注意ください。
ご使用中の飛騨春慶の匂いが気になる場合は、しばらく風通しの良い冷暗所に置いて下さい。匂いは自然に消えます。
洗い桶の水などに長時間漬けておくと、変色、変形、ひびの原因になります。使用後は水またはぬるま湯で手早く洗い、水切
後は水滴の跡が残らないよう、乾かないうちに柔らかい布で水気をよく拭き取ってください。
弁当箱に米粒などがこびりついた場合は、ぬるま湯を短時間(10分以下)張り、米粒が浮き上がってきたら、柔らかい布か
スポンジでやさしく洗い流してください。
新しい飛騨春慶の漆の匂いを早く取り除くには、米ぬかの中に数日入れておくか、酢水、あるいは少量の酢を加えた米のとぎ
汁で洗ってからぬるま湯ですすいでください。一回で匂いが取れない場合は、数回繰り返してください。