私の出会ったart&designの本

2010年3月に開催された、第664回デザインギャラリー1953企画展のアーカイブ。
コミッティーメンバーが選んだ「影響を受けた3冊」に、テキストを添えてご紹介します。
多くの人たちの本と親しむきっかけとなれば幸いです。

新見隆ポートレート
新見隆|キュレーター

1958年 広島県生まれ、 慶応義塾大学卒。武蔵野美術大学芸術文化学科教授。専門はデザイン史・美術館論。フリ―ランス・キュレイター。美術・デザイン評論家。香川県牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館学芸顧問。ギャラリー冊、顧問・キュレーター。1999年2月まで,西武美術館・セゾン美術館の学芸員として、「バウハウス1919-1933」(1995年)、「イサム・ノグチと北大路魯山人」(1996年)、「デ・ステイル1917-1932」(1997年)、「柳宗理のデザイン」(1998年)などを企画。「その日に、7年後、77年後-震災と芸術」(川崎市岡本太郎美術館)(2000年)、「表層を超えて-日本的ものづくりの手法」(国際交流基金主催、シンガポール美術館、マニラ・アート・センター)(2003年)のゲスト・キュレーター。主著に、「空間のジャポニズム」(INAX、1992年)、「モダニズムの庭園と建築をめぐる断章」(淡交社、2000年)作家としての活動には、箱の個展、児玉画廊(1994年)、銀座コマツ(1995年)、箱・コラージュ・人形の個展、文房堂ギャラリー(2000年)、学生たちとの人形展、ギャラリー現(2000年)、人形と食のスケッチ、AKI-EXギャラリー(2002年)、学生との、人形たちの庭、AKI-EXギャラリー(2004年)、学生たちとの、花、人形の庭、ギャラリー冊(2006年)、などがある。

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神さまの話

著者=リルケ 出版社=新潮文庫 初版年度=1953年

銀河鉄道の夜(新編)

著者=宮沢賢治 出版社=新潮文庫

若き詩人への手紙

著者=リルケ 出版社=新潮文庫 初版年度=1953年

世紀末ドイツの詩人リルケは、田舎の文学少年に、決定的な影響を与えた。旧制高校の気風の残る寄宿舎で無頼派を気取り、ワイルドの『獄中記』などに耽溺していたこともあったが、何しろ、ウルトラ級の汎神論者である。 「もの」に魂が宿るのを痛感した子供の頃の神秘的な体験を見事に言い当てた、『神さまの話』は、いまだに枕元にある。女性性的「ガラスの魂」を持ったリルケ自身もまた、私の内に転生した。
「作品が売れるとか、出版されて人気だとかでなく、詩人であることの唯一の絶対条件は、書かなくては生きていられない、ということだけです」と喝破して、内面の声だけに耳傾けよ、と未知の後輩に説いた、「若き詩人への手紙」は、ゼミ卒業生全員に、毎年贈る本だ。
賢治の「銀河鉄道」は、その、映像詩の結晶のようなオブジェ性、哀しみの触覚性でもって、言うまでもなく、奇跡的な、前人未踏の仕事だろう。
畢竟、芸術の本質は、生への愛惜いがいのものでないのだから。

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