私の出会ったart&designの本

2010年3月に開催された、第664回デザインギャラリー1953企画展のアーカイブ。
コミッティーメンバーが選んだ「影響を受けた3冊」に、テキストを添えてご紹介します。
多くの人たちの本と親しむきっかけとなれば幸いです。

ナガオカケンメイポートレート
ナガオカケンメイ|デザイナー

1965年北海道生まれ。日本デザインセンター原デザイン研究室(現 研究所)設立に参加。1997年ドローイングアンドマニュアルを設立。2000年デザイナーが考える消費の場を追求すべく東京世田谷にデザインとリサイクルを融合した新事業「D&DEPARTMENT PROJECT」を開始。2002年大阪南堀江に2号店を展開すると同時に、同年より日本のものづくりの原点商品、企業だけが集まる場所としてのブランド「60VISION」(ロクマルビジョン)を開始。カリモク、ノリタケなど12社とプロジェクトを進行中。現在、地場の若い作り手とともに、日本のデザインを正しく購入できるストアインフラをイメージした「NIPPON PROJECT」を47都道府県に展開中。2007年11月、北海道・札幌、2008年11月に静岡、2009年9月に長野、2010年4月に鹿児島をオープン。山形、広島など数ヶ所と設立を準備中。2009年デザインの視点で日本を紹介するガイドブック「d design travel」を創刊。

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人が見たら蛙に化れ

著者=村田喜代子 出版社=朝日新聞社 初版年度=2001年

Rei Kawakubo and Comme des Garcons

著者=Deyan Sudjic 訳=生駒芳子 出版社=マガジンハウス 初版年度=1991年

かたち 日本の伝承

著者=岩宮武二 出版社=美術出版社 初版年度=1962年

デザイナーの道に進むときめて、よろよろと走り始めたときに薦められた「Rei Kawakubo and Comme des Garcons」は、謎に包まれた川久保玲さんを知る本となり、ぼやっと見えていた彼女の考えがはっきりと活字となって目の前に現れた瞬間でもあり、今もたまに読み返しています。青春と音楽の結びつきのように、この本を見ると、若い初心を思い出します。
「人が見たら蛙に化れ」は、大量に都合よく捨てられて行くデザインと、その現場であるリサイクルショップを巡っていた時代に、新しいデザインの循環するデザイナーによるリサイクル事業を思いついたとき、朝日新聞社の方が薦めて下さった本です。「あなたのやっている事は、骨董屋と一緒よ」と言われたことがすぐに理解できなくて、薦められた本を読み進むうちに「世の中のものの価値とは、誰かが願いを込めてつけて、世の中に再び放っても良いもの」という骨董屋の考え、世界がとても楽しく興味深く書かれていて、店を立ち上げたときのことを思い出します。
日本デザインコミッティーに入りたての僕に「2年に一度の大役」である大催場を使った企画を命ぜられたときに、47都道府県からデザインのピースを集めて日本のデザインを検証するというその企画「DESIGN BUSSAN NIPPON」の図録をつくる際に、薦められた本が「かたち」です。

『人が見たら蛙に化れ』をAmazon.co.jpで購入(※文庫)

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